米国大学2025/26年度留学生減少の見通し

Institute of International Education(IIE)が発表した最新調査によると、アメリカの多くの大学では2025/26年度(来年度)に留学生の受け入れ数が減ると見込んでいるそうです。特に大学院レベルでの減少が目立っています。その背景や今後の対応策について、ポイントを簡単にまとめました。

 

【申請状況について】

2025/26年度に向けた留学生からの出願状況は、35%の大学が「減少した」と回答し、32%は「増加」、32%は「変わらない」としています。「減少」の割合は前年の17%から大幅に増え、コロナ禍の影響が色濃かった2021/22年以来の高水準となっています。

 

【出願が増えた主な国】

出願が特に増えているのはパキスタン(84%の大学で増加)、バングラデシュ(80%)、イギリス・ガーナ(各79%)などですが、中国(58%)、インド(59%)は比較的伸び悩んでいます。

 

【今後の在籍予測】

来年度の在籍予測では、大学院では49%、学部は40%、非学位課程は38%の大学が「減少を見込む」としています。

 

【減少の理由と現場の懸念】

減少理由として最も大きいのはビザ申請の障壁(87%)、さらに米国の政治的な状況に関して留学生や保護者からの問い合わせが増えていること(77%)が挙がっています。また他国への進学傾向(71%)、米国入国時や滞在中のビザ関連の不安(69%、68%)も影響しています。このほか、最近はビザの一時発給停止やソーシャルメディア審査導入、OPT制度の不透明化、特定国へのトラベルバン等も話題になっています。

 

【大学側の対応と学生支援】

多くの大学は、リクルート活動を強化したり、エージェントや外部コンサルと連携したり、オンラインプログラムやAIの活用を進めたりしています。また、92%の大学がビザ維持のためのカウンセリングを行い、メンタルヘルス支援やリーガルサービスの紹介も広がっています。夏季に帰国しない学生のサポートや、旅行自粛の促しも行われています。

 

【派遣留学の見通し】

アメリカの学生の海外留学(アウトバウンド)はむしろ安定または増加傾向にあり、人気の行き先はイタリア、スペイン、イギリス。アジアやオセアニアのプログラム、中南米のサマーコースも増加中とのことです。

 

【まとめ】

2023/24年度は過去最多の約112万7千人の留学生がアメリカに在籍しましたが、来年度はビザ政策や国際情勢の影響で減少が予想されています。大学側もリクルートや支援体制を工夫し、国際化を維持しようと努力を続けています。今後アメリカ留学を検討する方は、最新の入国・ビザ情報や大学のサポート体制を必ず確認することがおすすめです。

 

(本記事はIIEの公開調査結果をもとに2025年7月時点でまとめたものです。状況は随時変わる可能性がありますので、最新情報のご確認をお願いします。)